2017/05/22

医療・福祉・介護支援ロボットスーツを見てきました

 

医療・保健・福祉を支援する「弘前 暮らしの保険室」に参加し、医療・福祉支援ロボットスーツ「HAL(ハル)」を見てきたので、その概要をお伝えします。

 

1.医療・福祉・介護支援のロボットスーツを取り巻く環境

2.医療・福祉支援ロボットスーツ「HAL(ハル)」

3.国内で初めて保険適応された医療・福祉支援ロボットスーツ

4.ロボットスーツによるリハビリの様子

 





1.医療・福祉・介護支援のロボットスーツを取り巻く環境

2017年秋頃を目途に、トヨタ自動車(株)「以下、トヨタ」は、医療・福祉・介護支援ロボットスーツのレンタルを開始すると発表しました。

 

トヨタが進出してきた背景として、福祉・介護支援ロボット市場の拡大が考えられます。

経済産業省は、厚生労働省と連携して、2020年までに福祉・介護支援ロボットの市場規模を500億円まで拡大することを数値目標としています*1。

 

日本は少子化・高齢化と課題先進国です。

2025年に日本の高齢化率(人口に占める高齢者の割合)は30%になり、介護の現場では約30万人以上が不足すると言われています*2。

 

福祉・介護支援ロボット市場の拡大は、現場の人手不足や負担を軽減することだけでなく、ロボット産業で日本が世界をリードするチャレンジなのです。

 

トヨタより先の2016年4月から医療・福祉支援ロボットスーツのレンタルを開始している会社がありました。

茨城県つくば市にあるCYBERDYNE(株)「以下、サイバーダイン」です。

 

トヨタは、2007年から愛知県にある藤田保健衛生大学やトヨタ記念病院でロボットスーツを共同開発していますが、サイバーダインは、2004年に筑波大学の山海喜之(さんかいよしゆき)教授が設立した会社です。

 

サイバーダインが提供する医療・福祉支援ロボットスーツがHAL(ハル)です。

HALのHはHybrid(ハイブリッド)、Aは Assistive(補助の)、LはLimb(手足)で、手足を補助するハイブリッドのロボットスーツです。

 

 2.医療・福祉支援ロボットスーツ「HAL(ハル)」

医療・保健・福祉を支援する「弘前 暮らしの保険室」に参加した際に、医療・福祉支援ロボットスーツHALを実際に見てきたので、その概要をお伝えします。

HALには以下の3つの特徴があります。

①サイバニクス随意制御→自らの意志による訓練が可能になる

②アシスト量調整機能→訓練の負荷を調整することが可能になる

③バランス調整機能→身体状況に合わせた訓練が可能になる

 

上記のサイバニクスを形したものがHALということができそうです。

サイバニクス (Cybernics)とは、サイバーダイン代表、筑波大学教授の山海氏が創出した人・機械・情報系をハイブリットさせた新しい学術分野です。

 

HALは、脳から筋肉に伝達される電気信号の中から、皮膚に流れる生体の微弱な電気信号を身体に付けた18極の電極が読み取り、モーターが動いて、身体の動きを補助します。


HALは、全国180施設で、すでに400台がレンタルされていますが、販売しておらず、レンタルの申し込みを受けた後に製造を開始しているそうです。

弘前(ひろさき)市や弘前大学医学部附属病院もロボットスーツHALを導入しています。




 

3. 国内で初めて保険適応された医療・福祉支援ロボットスーツ

HALは、国内で初めて保険適応された医療・福祉支援ロボットスーツです。

2015年11月に「生体信号反応式運動機能改善装置」として薬事承認されました*3。

 

ここまでの道のりはサイバーダインにとってチャレンジの連続でした。

日本でロボットスーツHALは、なかなか薬事承認されなかったからです。

 

まず、2013年にHALは欧州で世界初の医療機器の承認を受けました*4。

ドイツなどの海外に輸出する形で導入してもらい、成果をあげました。

その成果は、2014に年米国の著名な医学雑誌「Neurology(神経学)」で認められました*5。

2015年に日本でもやっと承認がおりたそうです。

 

ゆっくりと進行する神経・筋疾患の8疾患が原因で歩く機能が低下した方を対象にHALが医療保険の適応となりました。

 

  • 脊髄性筋萎縮症(SMA)
  • 球脊髄性筋萎縮症(SBMA)
  • 筋委縮性側索硬化症(ALS)
  • シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)
  • 遠位型ミオパチー
  • 封入体筋炎(IBM)
  • 先天性ミオパチー
  • 筋ジストロフィー

 

医療・福祉支援ロボットスーツHAL(ハル)は、皮膚の電気信号をモニターで表示し、筋肉の動きを拡大し、筋肉の収縮を補助することで、筋肉はもちろん筋肉を動かす神経の働きを強くします。

 

 

医療・福祉支援ロボットスーツの自立支援用短関節モデルもあり、脳卒中の後になるべく早く、随意運動を開始することで、筋肉や神経を使わないことで筋肉が委縮してしまう廃用性委縮(はいようせいいしゅく)を防ぐ効果が期待できるそうです。

レンタル費用は、両脚の初期費用が40-55万円程度、レンタル費用がひと月当たり15-20万円程度です。

 

 4.ロボットスーツによるリハビリの様子

HALのリハビリの様子を実際に見せていただきました。

3年ほど前から足が上がらなくなり、歩けなくなった方が実際にHAL医療用下肢でリハビリをされました。

お話を聞いたところ、

「着用してみて、違和感はあるけど、足が上がる。前に足を出せるのが良かった。リハビリの後に一度歩いてみたが、ブレがなく歩けた」と話していました。

HAL医療用下肢は、装着が大変そうでした。

18極の電極をつけたり、一緒に歩いたりシステムを調整したりしなくてはならないからです。今後は装着しやすさや、調整のしやすさが改良されていくのでしょう。

従来のやり方では、手足を動かせなくなってしまったり、歩けなくなってしまったりしていた方が、医療・福祉用ロボットスーツのリハビリでそれを防げるのであれば、医療・福祉支援ロボットに挑戦・チャレンジする価値が十分にある、と私は思いました。

 

医療・福祉・介護支援ロボットの市場規模が拡大すれば、レンタル料も安価になり、1人暮らしの方でも、自分で装着してリハビリができるようになるかもしれません。

今後の医療・福祉・介護支援ロボットの挑戦・チャレンジが楽しみですね!!

 

 

【参考】

*1 ロボット介護機器開発・導入促進事業 平成29年度予算額 – 経済産業省

*2 2025 年に向けた介護人材の確保 – 厚生労働省

*3 HAL 医療用 – CYBERDYNE

*4 「ロボットが人を治療」 日本のVB、欧州で初の認証取得 ‐日本経済新聞

*5 米国医学雑誌「Neurology」に、急性期の脊髄損傷患者に対する医療用HALの医学的治療効果の論文が採択- CYBERDYNE

 

 

・弘前 暮らしの保険室

毎月第1・3土曜日の午前9時半から11時半まで

清水交流センター(弘前市大字大開2丁目1-2、0172-87-6611)

参加費は、運動やイベント毎に徴収(相談は基本的に無料)

医療・保健・福祉の経験者による相談会やミニ講座

CYBERDYNE株式会社(サイバーダイン株式会社)

代表者 山海 喜之

設立 平成16年6月24日

本社 茨城県つくば市学園南2丁目2番地1

資本金 165億11百万円

事業内容 ロボットスーツの開発・製造・販売

関連会社 CYBERDYBEドイツ、CYBERDYBEスウェーデン、CYBERDYBEデンマーク

 

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

 

 

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