2018/02/15

斜めにはえた親知らずが虫歯!?神経に近いと言われたが抜歯すべきでしょうか?

 

この記事を書いている人 - WRITER -
口腔外科医(歯科医師)。医学博士。北海道大学卒業後、 日本一短命の青森県に戻り、地域医療に従事。バルセロナ、メルボルン、香港など国内外の学会で研究成果を発表。「口」と体を健康に保つ方法を体系化、情報を発信している。趣味は読書(Amazon「ベスト100レビュアー」)とハンドボール。
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親知らずが痛んだことはありませんか?

親知らずに虫歯があって、冷たいものがしみる。
普段は症状がなくても年に数回、親知らずのまわりの歯茎(歯肉)が腫れる。
など人によって症状はさまざまです。

先日、「神経が近いから術後の痺れが数ヶ月残るリスクがあると言われました。だから、下の親知らずを抜くかどうか迷っています」という相談を受けました。

 

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確かに、下の埋まった親知らずを抜歯すると、下の唇や顎の部分の麻痺が出ることがあります。

一時的な感覚の低下が0.6~1.2%、永久に残る麻痺は0.2%と言われています(*1)。

この記事は、症状がある親知らずを抜くかどうか迷っている人のために書きました。
今回は、親知らずの4つの難易度についても簡単にお話しします。

親知らずは、智歯(ちし)や第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)と医療の世界で言いますが、馴染みがない専門用語はなるべく避け、この記事では「親知らず」としますね。

【目次】
1) あなたはABCDのどれ?抜歯の難易度4段階(←今回の記事)

2) 3つのチェック!自分のレントゲン写真をみせてもらおう(←次回の記事)
3) 10年以上の修行が必要!?抜歯後に痛みと口腔外科の経験年数の意外な関係
4) まとめ

 

1) あなたはABCDのどれ?抜歯の難易度4段階

症状のある親知らずを抜きたいと思っていても、家庭や仕事が忙しかったリ、抜歯が不安だったりで、抜歯を躊躇している方が多いようです。

 

とくにアゴの神経(下歯槽神経/かしそうしんけい)の麻痺。

 

以前に歯科医院で神経の麻痺が出るかもしれない、と言われて不安な方こそ、自分の親知らずの埋まっている状態(埋伏の状態)を知りましょう。

なぜならば、埋まっている状態で抜歯の難易度が決まり、抜歯の難易度が上がれば、神経麻痺が起こるリスクが上がるからです。

 

まず、鏡で「口」の中を見てみましょう。
あなたの親知らずは、頭のところ(歯冠)が見えますか?

 

見えている場合、歯茎(歯肉)に覆われて、親知らずの頭のところ(歯冠)が一部だけ見えている方と、全部見えている方がいると思います。

一部もしくは全部見えてくる親知らずの多くは、難易度AかBでしょう。

もし見えていない場合、親知らずが歯茎(歯肉)に完全に覆われています。
抜歯の難易度の4段階のうち、CかDかもしれません。

見えていない場合は、レントゲン写真(パノラマX線写真)で確認するので次回の記事で詳しく説明しますね。

 

次に、あなたの親知らずはまっすぐに生えていますか?
それとも斜めに生えていますか?

 

鏡を見て、まっすぐに生えているのが見えるならば、神経麻痺が起こるリスクはかなり低くなります。
抜歯の難易度の4段階のうち、Aになるからです。

Aは、まっすぐ生えていて、歯茎(歯肉)を切れば(歯肉切開のみ)抜歯できる親知らずです。

 

せっかくなので、抜歯の難易度の4段階のA~Dをざっと見てみましょう(*2)。

 

A:まっすぐはえていて、歯茎(歯肉)を切れば抜歯できる(歯肉切開)
B:斜めになっていて、歯を分割すれば抜歯できる(歯肉切開+歯冠分割)
C:斜めや横になっていて、骨の削れば抜歯できる(歯肉切開+骨削除+歯冠分割)
D:完全に骨の中に埋没している(歯肉切開+骨削除+歯冠分割)

 

Dは、完全に骨の中に埋まっている親知らずです(完全骨性埋伏智歯/かんぜんこつせいまいふくちし)。
鏡で見ても見えませんし、症状もない方が大半です。

あなたの症状のある親知らずがAでなければ、BかCに分類されるでしょう。

親知らずの抜歯の難易度がBかCかを知ることは大事です!

 

なぜならば、抜歯の難易度が上がれば、アゴの神経(下歯槽神経/かしそうしんけい)の麻痺が起こるリスクは上がるからです(*3)

B以上はレントゲン写真が必要になりますが、ちょっと内容が専門的になってしまいました。

長くなりそうなので今回はこれぐらいにして、続きの「2)3つのチェック!自分のレントゲン写真(パノラマX線)をみせてもらおう」は次回にお話しますね!

 

今回のまとめです。

確かに、下の埋まった親知らずを抜歯すると、下の唇や顎の部分の麻痺が出ることがあります。

一時的な感覚の低下が0.6~1.2%、永久に残る麻痺は0.2%と言われています(*1)

 

しかし、親知らずの埋まり方は人それぞれ違います。
埋まり方で、抜歯の難易度も変わってきます。

 

抜歯の難易度がAやBであれば、神経の麻痺が起こるリスクは少ないですよ。
だからこそ、親知らずを抜こうかどうか迷っている方は、自分の親知らずの状態を確認しましょう。

 

それではまた次回「ご紹介。神経に近い下の親知らず抜歯前の3つのチェックポイント」を楽しみにしていてくださいね。

 

参考文献:

*1歯科口腔外科の各疾患の治療におけるインフォームドコンセント書式について[公益社団法人 日本口腔外科学会

*2 三浦 康次郎, 木野 孔司, 他:下顎埋伏智歯抜歯後の神経麻痺.日口外誌, 65:1-5,1998.

*3 吉増秀實,白鳥満, 他:下顎埋伏智歯抜歯における難易度分類と抜歯法および抜歯に要する時間についての検討.日本歯科評論598:167-173,1992.

 

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

 

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口腔外科医(歯科医師)。医学博士。北海道大学卒業後、 日本一短命の青森県に戻り、地域医療に従事。バルセロナ、メルボルン、香港など国内外の学会で研究成果を発表。「口」と体を健康に保つ方法を体系化、情報を発信している。趣味は読書(Amazon「ベスト100レビュアー」)とハンドボール。
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