2018/03/19
【抜歯の全額費用】親知らず抜歯後の当日から治るまでの痛みと腫れは? (前編)
親知らずを抜くと腫れてひと目が恥ずかしいから、なかなか踏み切れない。
職場を休めればいいけれど、平日に休むわけにもいかない、という方が多いようです。
先日、ある方にくわしくお話しを聞いたところ、親知らずに痛みや腫れがあるにもかかわらず、わからないことがたくさんありすぎて、放置してしまったそうです。
親知らずを抜くときにお金をいくらぐらい準備したらいいのか、料金についてもよくわかりませんよね。
今回は、親知らずを抜くときに不安に感じている病院を受診されてから抜歯するまでの流れや抜歯当日から治るまでの様子、費用についてお話しましょう。
【目次】
1) 病院を初めて受診した日(初診日)の話
2) 抜歯当日の話(←今回の記事)
3) 抜歯翌日からの状況
4) 抜糸の日の話
5) まとめ
1)病院を初めて受診した日の話 ~状況を確認し、予約をとる~
総合病院や大学病院の歯科口腔外科を初めて受診した日は、大きく以下の4つを行います
①紹介状を見て、困っていることやこれまでの症状などを話します
②レントゲン写真をとり、親知らずの状態と周りの状態を確認します
③抜歯について説明を受け、抜歯の同意をします
④痛みや腫れがある場合は薬をもらって、予約をとります
①紹介状を見て、困っていることやこれまでの症状などを話します
一番大事なのが、あなたが困っていることです。
親知らずが虫歯になって痛い、親知らずのところがときどき腫れる、など一番困っていることを話してください。
他の病気が隠れていることもありますし、親知らずを抜かなくても困っていることが解決できるかもしれません。
ご注意。かかりつけ歯科医院や病院からの紹介状がないと、追加料金がかかります(選定療養費:2000~5000円程度)。
紹介状や予約がないと受診できない病院も増えているようです。
②レントゲン写真を撮影して、親知らずの状態と周りの状態を確認します。
レントゲン写真(パノラマX線写真)を撮影して、親知らずの状態と周りの状態を確認します。
レントゲン写真は、白くみえているところが硬いところ、骨や歯や金属です。
黒い部分は硬くないところです。
(下顎の骨や歯が白くうつっている;掲載許可あり)
虫歯によって歯が溶けてしまったり、細菌やできものによって骨が壊されると歯や骨が黒く抜けます。
★親知らずの状況と抜歯の難易度についてはこちら。
斜めにはえた親知らずが虫歯!?神経に近いと言われたが抜歯すべきでしょうか?
③抜歯について説明を受け、抜歯の同意をします
上の親知らずと下の親知らずは、難易度も抜いた後の症状もまったく違います。
多くの場合、上の親知らずは下の親知らずに比べて抜歯が楽なので、抜いた後の症状も少ないですよ。
心配なことがあれば、遠慮せずに聞いてくださいね。
④痛みや腫れがある場合は薬をもらい予約をとります
病院の方針や状況にもよりますが、基本的に初診の日に抜歯はしていません。
なぜならば、親知らずを抜歯するための器具や時間を準備していないからです(方針は病院ごとに違いますので、受診された病院でご確認ください)。
また、痛みや腫れなどの炎症反応(えんしょうはんのう)がある場合、麻酔が効きにくくなるので、化膿止め(抗菌薬)や痛み止めの薬を飲んで、いったん症状をしずめた方がお互いにいいですよ。
初診日の金額
初診料:750~1000円程度(3割負担)+レントゲン写真代(パノラマX線写真1200円程度)
(+必要に応じてレントゲン写真を追加します。たとえば歯科用CT:3500円程度)
★歯科用CT(コンビームCT)についてはこちら。
ご紹介。神経に近い下の親知らず抜歯前の3つのチェックポイント
2)抜歯当日の話 ~体調万全でのぞみましょう!~
抜歯の予約日に合わせて体のコンディションを整えましょう。
以下の4つに注意したいですね。
①前日は早めに休みましょう
②ご飯をしっかり食べましょう
③力を抜いて手術を受けましょう(下の親知らずの抜歯にかかる時間)
④抜歯当日(抜歯後0日目)の3つの注意を守りましょう
①前日は早めに休みましょう
前日は無理をしないで早めに休んで抵抗力を下げないようにしたいですね。
体調が良くない場合は、無理をせずに連絡して予約を変更しましょう
②ご飯をしっかり食べましょう
抜歯の日はご飯をしっかり食べましょう。
普段から飲んでいる薬は自己判断で中断せずに当日もきちんと飲んでくださいね。
③力を抜いて手術を受けましょう(下の親知らずの抜歯にかかる時間)
スポーツも同じですが、過度の緊張は体にとってよくありません。
目をつぶると怖くなってしまうので、目を開けて周りの様子を確認しましょう。
手や顔に力が入るとそれだけで緊張してしまいます。
意識して力を抜いて、ゆっくり呼吸しましょう。
速い浅い呼吸は交感神経を刺激するので、緊張します。
ゆっくり深く呼吸するようにしましょう。
どれぐらい時間がかかるのか、気になっている方も多いようです。
下の親知らずの抜歯にかかる時間は、抜歯の難易度と術者の経験によるので、一概には言えません。
ある論文によると、抜歯の難易度Aの場合、平均15分かかり、難易度Bの場合は平均25分で、難易度Cの場合は平均30分、難易度Dの場合、平均50分かかると報告されています(*1)。
A:まっすぐはえていて、歯茎(歯肉)を切れば抜歯できる(歯肉切開のみ)
B:斜めになっていて、歯を分割すれば抜歯できる(歯肉切開+歯冠分割)
C:斜めや横になっていて、骨を削れば抜歯できる(歯肉切開+骨削除+歯冠分割)
D:完全に骨の中に埋没している(歯肉切開+骨削除+歯冠分割)
★抜歯の難易度ABCDが気になった方はこちら。
斜めにはえた親知らずが虫歯!?神経に近いと言われたが抜歯すべきでしょうか?
ちなみに、手術の時間長くなれば神経の麻痺が出るリスクも上がります(*2)。
なぜならば、長時間になると神経にダメージを与える可能性が上がるからです。
親知らずの抜歯のときに骨を削ったり、歯の根が当たったりして、顎の骨の中にある神経(下歯槽神経/かしそうしんけい)にダメージがあると神経の麻痺がおこると考えられています。
下の親知らずの抜歯にかかる平均の時間は、あくまで平均です。
一人ひとりの親知らずの状況と抜歯の難易度、術者の経験によっても異なりますので、参考程度にしてくださいね。
ちょっと長くなってしまったので、今回はここまででいったんまとめます。
今回の記事のまとめ
お話しを聞いていると、親知らずを抜くと腫れてひと目が恥ずかしいから、なかなか踏み切れない。
平日に会社を休むわけにもいかないし、という方が多く、症状のある親知らずをそのまま放置してしまうことが多いようです。
今回の記事では、病院を初めて受診した日(初診日)の話 と抜歯当日の話についてお話しました。
下の親知らずの難易度によって、抜歯にかかる平均の時間が違うこともご紹介しました。
次回は、いよいよ抜歯当日(抜歯後0日目)の3つの注意や、抜歯翌日からの状況についてお話しします。
楽しみにしていてください。
参考文献:
*1吉増秀實,白鳥満,他:下顎埋伏智歯抜歯における難易度分類と抜歯法および抜歯に要する時間についての検討.日本歯科評論598:167-173,1992.
*2三浦 康次郎,木野 孔司,他:下顎埋伏智歯抜歯後の神経麻痺.日口外誌,65:1-5,1998.
関連記事 - Related Posts -
-
2018/01/25
-
横向きに埋没した親知らず!?麻酔から抜歯までの方法と合併症
-
2018/01/09
-
むし歯がある親が子どもにキスをすると、むし歯菌はうつりますか?
-
2018/03/02
-
舌癌ではないかと不安です。口内炎との違いを教えてください
最新記事 - New Posts -
-
2019/06/17
-
著作案内
-
2019/04/07
-
ドライブレコーダの取り付け
-
2018/11/14
-
講演会のご案内
-
2018/03/24
-
口腔癌で放射線治療を受けました。抜歯や歯科治療はできますか?